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閃光のプレリュード

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閃光のプレリュード 8お決まりの早朝渋滞か、最悪の場合、事故渋滞に巻き込まれたのだ。いつでもクラッチを切れる様軽くペダルに乗せたままの左足が小刻みに震え、左胸の鼓動が否が応にも早まり、触らなくても頸動脈が怒張するのがわかる。舌に苦いものを感じ、全身に悪寒が走った。こんな重大な事故を目の前にしながら、もうこの場所から抜け出すことも引き返すことも出来ないのか。屈辱にも似た感情が瀧本の心に湧き上がった。彼は救急専門医であるからだけでなく、できるだけ早くこの場から脱出して事故現場に向かい事態を把握しなくてはならない重大なもう一つの理由があるのだ。着陸寸前の最新鋭旅客機が、何も前触れもなく羽田空港の新設滑走路の手前で、突然爆発炎上し墜落するなどという事件は、日本の航空業界にとって前代未聞の重大インシデントであることは論をまたない。羽田空港の国際化推進事業政策に伴い、東南アジアなどからの早朝到着便も増えており、深夜から早朝にかけての滑走路使用権を