閃光のプレリュード page 11/24

概要：
閃光のプレリュード

9巡っては各社とも熾烈な争奪戦を繰り広げている。従って、たった一機の僅かな離発着トラブルでさえ空港全体の運用の乱れにつながってしまう。朝の出発便ラッシュを控えた空港ビルディング三階にある出発ロビーには、緊張のせいで表情を固くした出張サラリーマンや多くのお土産や荷物を抱えた乗客たちでごった返し始めていたが、早朝のこの時間帯に起こった信じられない惨劇を目の前にして、空港全体が巨大な冷蔵庫の中に閉じ込められた様に氷点下の冷気で満たされてゆく。空港関係者たちの動揺は察するに余りある。白煙の方向や閃光の位置から察するに、新たに増設されたＲＷＹ２３滑走路に向けてアプローチ中の到着便であることは、排気ガスに満ちたトンネルに閉じ込められた瀧本には容易に想像できた。とりあえずは事故の最新情報を渉猟しようとすぐさま無線機ＩＤ-９２をチューニングするが、その努力は全く虚しいことは明らかだった。トンネルの中では既存のラジオ放送やＧＰＳはともかく、ＡＭ波の航空無線を傍受す