閃光のプレリュード page 12/24

概要：
閃光のプレリュード

閃光のプレリュード 10ることは出来ないのだ。もしその時地上に出ていれば、空港の管制塔から発射された交信は言うに及ばず、所沢の東京管制部の通話さえ手に入れることは容易だった。臍を噛みながら先ずはラジオのスイッチをオンにする。ＭＨＫの第一放送ではちょうどラジオ体操の時間のはずである。だがラジオから聞こえてきたのは、体操のお兄さんの、張りの有るいつものかけ声ではなく、樫本アナウンサーの、緊張しつつも引き締まった冷静な声だった。「番組を中断して臨時ニュースをお送りします。只今六時三四分頃、羽田空港に向かって降下中のサウスイースト航空１９４便のボーイング７６７型機が東京湾上空で突如出火し機体を大きく破損し滑走路手前の海面に墜落した模様です。繰り返しお伝えします。羽田空港に着陸体制に入っていた、バリ島デンパサール発東京行きサウスイースト航空の１９４便が着陸寸前に東京湾上空で炎上墜落しました。乗っていた乗員、乗客の人数および被害状況は今のところはっきりしませんが多数の負傷者が出ている模様です。詳細は入り次第お伝えします。」