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閃光のプレリュード

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閃光のプレリュード 14き散らされたジェット燃料に引火しない事が条件だが。ここまで事故の状況を確認した瀧本航介は、肩に食い込んだシートベルトのロックを外し、助手席のシートに寝かせてある腐りかけたLOEVE製のアタッシュケースから細かな引っ掻き傷の入った黒いDOCOMOのガラパゴス携帯を取り出し、通話履歴の最上段に通話を試みた。この際、道交法違反などと言っている場合ではない。案の定相手からは応答はなく、しかも電子音声で「この番号は現在使われていないか電源が入っていません。番号をお確かめの上もう一度おかけ直しください。」とつれない文言が返ってくるだけだった。通話の相手は早乙女マリア、二九歳。彼の六年来の恋人で、サウスイースト航空に入社して五年目のハーフの美人CAである。父親の早乙女直人はジェットエンジンの設計に憧れて一度東智大学理工学部に入学したが、パイロットへの夢断ちがたく二年途中で中退し航空大学校に進んだ。見事主席で卒業したあと、特別に請われて中堅航空会社のノースアジア航空で国際線を中心にキャリアを積んだ後、五年前から査察パ