閃光のプレリュード page 17/24

概要：
閃光のプレリュード

15イロットをしていたが、二年前の定期健康診断で後大脳動脈に直径約３ミリの動脈瘤が見つかり、今では地上勤務を余儀なくされており、羽田空港の訓練センターの教官を任されている。二年後に定年を迎えてから手術を受けようと考えている。母親のジュリアはシンガポール生まれのイタリア系でシドニーのオペラハウスにも出演したことのある程の名ソプラノ歌手である。直人より三歳若い。勤務で立ち寄った香港で、仲間に誘われてたまたま訪れたオペラハウスでトスカを歌っていた彼女に一目惚れした直人は、持ち前の突進力で二年かけてやっと口説き落した、と世間では囁かれている。誰もが認めるその美貌は、周りの者に夫に対する嫉妬の情しか抱かせないほどであった。その二人の間に生まれた一人っ子のマリアは、都内のミッション系女子校で英米文学を専攻して家族や周囲の愛情を一身に受けながら成長し、卒業後は中央区のとある国際病院に院長秘書として勤めながら社会勉強をしていた際、救急部の若手ドクターの瀧本航介と運命の出会いを果たしたのであった。