閃光のプレリュード page 18/24

閃光のプレリュード

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閃光のプレリュード 16そのマリアがこの機に乗っている!最悪の事態が脳裏に浮かび、言葉にならない不安と動揺が瀧本を包み込む。目に沁みる、ヂーゼルエンジンのPM2、5をたっぷり含んだ排気ガスが立ち込め、前後左右に渡って切れ目なくびっちり詰まった乗用車やトラックの蟻の行進のような隊列の中に閉じ込められてしまうと、人間は冷静な判断力を失ってしまうものなのか、それともたった今目撃した惨劇のせいなのか、瀧本の明晰な頭脳さえもこの場に置かれるとそのポテンシャルを発揮することが出来ない。起こっていることを受け止めるのが精一杯で、どう行動したらよいのか皆目検討がつかないのだ。瀧本航介が生まれて初めて経験したパニックだった。数日前マリアとメールのやり取りをした際、確か今日七月二七日の午前便で日本に帰れるとの事だったし、瀧本がジャカルタで開かれる第二三回国際救急医学会に演者として出席するため今日これから入れ替わりに搭乗する予定の九時丁度発の旅客機は