閃光のプレリュード page 19/24

閃光のプレリュード

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17サウスイースト航空の197便のはずで、往復便としてまさに今墜落した機材を使用するはずだったのだ。「確かデンパサール発ジャカルタ経由羽田行き便はもう一本午後に到着する便があったはずだ。こちらに乗っていることは無いのか。」根拠の無い期待は排気ガスで吹き飛びそうになる。到着する日程はともかく、詳しい到着時刻を確かめて置かなかったのは迂闊だった。もしマリアがこの194便に搭乗していたら電話に出られないどころの事態ではないのは自明だし、仮に今回の事故が起こらなかったとしても、二時間後の九時の出発便に使用するこの機材が瀧本が搭乗中にトラブルを起こした可能性もあると考えると、運命のいたずらなどという悠長なことを行っている場合ではないのだ。航空機に乗務する職業を持つ人間を恋人に持つことは常にこんな事態が発生することも覚悟しなくてはいけないものなのだ、と理屈ではわかっていても、僅かな確率とはいえ起こった現実を目前に突き付けられると、如何に沈着冷静な人間といえども突拍子もない行動に駆り立てられる事がある。