閃光のプレリュード page 20/24

閃光のプレリュード

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閃光のプレリュード 18遅々として進まない車の隊列と、特に新しい情報の無いラジオの速報に業を煮やしていると、片側三車線の一番左の走行車線に止まっている彼の車の左のサイドミラーに、遥か後方から路側帯をこちらに向かって猛スピードで近づいてくる緊急赤色灯の点滅の群れが写った。そして救急車とも消防車ともつかない複雑に交じり合ったサイレンの響きが、赤色灯の明るさが増すのに比例して大きくなり、トンネル中を駆け巡った。救急車に消防車が混じったコンボイ集団は計二〇台以上はあったろうか、瀧本のTR7のサイドミラーを風圧でなぎ倒さん程の勢いで南に向かって疾駆していった。そしてなんと、このコンボイの大列が途切れた一瞬を見計らって、ディープブルーに塗られた一台のスポーツカーが走行車線から左のエスケープラインに列を外れ、そのコンボイ集団を追いかけ始めたのだ。TR7だった。瀧本航介の駆るツーシーターはターボチャージャーの咆哮を吐き出しながらなんの躊躇もなく速度をグングン上げ、あっという間に隊列に追いついた。