ブックタイトル愉快なまつさん「満員御礼」

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愉快なまつさん「満員御礼」

愉快なまつさん「満員御礼」 10「あなたって、とっても厳しい人ね。怖いわ。たった一つの楽しみを奪うなんて。いいじゃない、このくらい。一日に十個食べるなんて言ってないんだから。私だって自分の身体の事を思って、ちゃんと制限してるのよ。三個か四個に留めておくのって、かなりのストレスなのわかってもらえないかしら。私はね、ストレスなんかには絶対に負けたくはないの。だからその為にはあと一個か二個追加しないとね」「そうしたら、ストレスに負けないとでも言うの? 残念でした。それではストレスに勝った事にはなりません。ストレスの方の勝ちです」と、幸恵は言い返した。周りからひそひそと声が聞こえる。「ねえねえ聞いた? 一日にあんパン三個も四個も食べるんですって。若い育ち盛りの子にしたって食べ過ぎよね」「そうそう、それもこの年齢じゃ、一日に一個がせいぜいよ。それでも毎日食べてるんだったら、病気寸前じゃない」